ブロンプトンのパンク対策としてクリックバルブを導入した

P.2|ブロンプトンとクリックバルブ。今日も僕は機嫌がいい

クリックバルブ 米式変換キット

【要約】

  • クリックバルブとは、バルブとポンプをワンタッチで接続可能にする新しい規格のバルブのこと
  • 空気入れを怠り、リム打ちパンクを繰り返していた
  • 空気入れをラクにするクリックバルブの導入がパンク対策になると考えた
  • サイクリング前に空気を入れる頻度が増え、パンク対策として効いていると思われる

パンクしない未来にBETして、いつも空気を入れない

ブロンプトン 山道

鼻歌交じりにつづら折りの道を下っていると、ぐにゃりと急激にグリップを失った。ここは電波の届かない山奥にある林道で、クラッシュしたらひとたまりもない。焦りつつ、冷静に、タイヤをまっすぐに保つ。次のカーブが迫るなか、わずかなグリップを感じ取りつつ、じんわりとブレーキレバーを握り込む。カラカラとハブの回転数が落ちていく。最後まで気を抜かず、ゆっくりと地面に足をつける。

心臓の鼓動をなだめる。そして、気のせいであってほしいと願いながら、自転車の前方をのぞき込む。フロントタイヤが、まるで車に轢かれたカエルのように、ぺしゃんこになっていた。「ブロンプトンで初めてのパンクが、よりにもよってなんでこんな山奥なんだ」と悪態をついたところで、胸に手を当てて考えてみると思い当たる節があった。ハイキングコースと化した林道を走るというのに、空気を入れて来なかったのだ。

そういえば、ブロンプトンに乗る前から何度もこのパターンを繰り返している気がする。空気入れを怠っては、リムを打ち付けてパンクをして立ち往生。自転車が嫌になって、なんだかんだでまた乗って、パンクして。

ブロンプトンの空気入れは特に面倒くさい。小径車だから仕方ないのだけど、いくらなんでも作業スペースが狭すぎる。ポンプの接続が甘くて空気が漏れたり、うっかり手を強く打ち付けたりする。これから走り出そうという時に、いつも出鼻をくじかれる。スーパーに行くというのに手を黒く汚してしまった日なんて、ズーンと気持ちが沈む。だから、パンクしない未来にBETして、つい空気入れを怠ってしまう。

クリックバルブという救世主

クリックバルブ ポンプヘッドアダプター

クリックバルブという名前だけは知っていたけど、興味はなかった。どうせ自転車に熱心な人のための道具で、熱量が低いインスタント・サイクリストの僕には無関係だと思っていたから。それでも、なにかの拍子にクリックバルブがどういう物なのか知ると、その日のうちに下調べを済ませ、翌日には必要なもの一式を購入していた。

クリックバルブとは、バルブとポンプをワンタッチ接続できる新しい規格のバルブのこと。従来のように、バルブにポンプをグッと押し込んでレバーを起こしたりするような手間がなくなるから、「空気入れを怠ったことによるパンク」の対策に有効だと考えた。スペシャライズドのインスタ動画を観ると、いかにラクに空気を入れることができるかわかる。

ほとんど衝動買いだったせいで、一式を注文してから自宅に届くまでの間、下調べが甘かったかもしれないと少し不安になった。1週間くらい待って冷静さを取り戻してから注文すればよかったと反省した。そして4か月が経ち、クリックバルブの導入は正解だったと確信している。信頼性の高い性格テストとして有名なビッグファイブで、僕は開放性のスコアが低い。実際、最新のテクノロジーに興味がなくて、新しいSNSやAIが登場しても食指が動かない。新規格であるクリックバルブをスルーせずに興味を持てたことは、ほんとうにラッキーだったと思う。

クリックバルブ ブロンプトン
ブロンプトン 米式クリックバルブ
狭く入り組んだ場所でも、なんのその。

カチッ、シュコシュコ、パッ。

難関だったバルブとポンプの接続が、嘘のようにスムーズに進む。いままでは「バルブを傷めないよう慎重にポンプを押し込んで、手を汚しながらレバーを操作して、いざシュコシュコしたら接続部から空気が漏れる」ということがよくあった。だけど、クリックバルブではそういうエラーは起こったことがない(ポンプヘッドを外すときにシュパッと空気が漏れる音がするのだけど、ホースの空気が抜けているだけでチューブ側の空気圧に影響は無いらしい1)。

室内で空気を入れる時、バルブに接続しにくいから毎回のように車体を展開していた。だけど、展開したらしたで部屋が狭くなって作業がしにくかった。クリックバルブにしてからは手際が悪くても、体勢が苦しくても、折りたたんだ状態でも問題なくって。

もちろん相変わらず空気入れは嫌いだし、面倒な作業であることに変わりない。結局、フロアポンプを取り出して前後輪をシュコシュコするのだから。だけど、「空気を入れる手間」と「リム打ちパンクのリスク」を天秤にかけたときに、ほとんどの場面で前者を取るようになった。脳のバックグラウンドでうごめく「リム打ちするかも」という不安から解放されて、晴れやかな気持ちで自転車を走らせている。

米式バルブのブロンプトンをクリックバルブ化するには

【RECIPE|材料】

僕が購入した製品はこの通り。クリックバルブはいくつかのブランドが出しているけれど、僕は特に何も考えずClik社を選んだ。ついでにいっしょに使っているチューブやポンプもまとめている。公式のクイックスタートガイドと合わせて読むと、自分に必要なものがわかるはず。

ブロンプトンをクリックバルブ化するには、もともと使っているバルブとポンプに専用のアダプターを取り付ける必要がある。面倒くさそうだけど、構えなくても大丈夫。メカやカスタムに苦手意識のある僕ですら、あっという間にインストールできた。特別な知識も工具もいらない。数年前、MTBのチューブレスレディ化にかなり手こずったことを考えると、導入ハードルの低さもクリックバルブの魅力のひとつだと思った。

クリックバルブ ポンプヘッド
直角のポンプヘッド

ポンプ側は、先っちょだけのポンプヘッドアダプターではなく、直角のポンプヘッドを選んだ。フロアポンプにアダプターだけを追加するより、ヘッドを丸ごと交換したほうがコンパクトになる2。目下の悩みは小径車特有の作業スペースの狭さだったから、ケチらずに。実際に使ってみて、コンパクトなポンプヘッドは体勢が悪くても折りたたんだ状態でも接続しやすくて、作業性を大きく向上してくれていると感じる。クリックバルブ以前に戻る気はないから、フロアポンプの元のヘッドは捨てた。そのせいで交換方法の解説ができなくなってしまったのだけど、公式の動画を見れば問題ないはず。

クリックバルブ 米式変換キット
米式バルブに変換キットを
クリックバルブ 米式変換キット
クリックバルブ 米式変換キット 重量
ダストキャップ込みで4.2g

チューブ側は、米式変換キットを。2個入りだから前輪後輪に使える。ペットボトルにキャップをするように、変換キットをバルブに被せて手で締め込むだけで取り付けできる。出先でもあっという間に元の米式バルブに戻せるから、非常用の携帯ポンプはクリックバルブ化しなくてもいい。同様に、ガソリンスタンドでも空気を入れることができる。仏式バルブのチューブを使っている人は、仏式用の変換キットを選ぼう。その際、バルブコアが外れるものでないと、クリックバルブ化できないから注意。

空気入れをさらに快適にするために電動ポンプの導入を考えたけど、そこまでするのはやめておく。インスタント・サイクリストの僕には過剰な道具だと思うから。

結び

ブロンプトン

ミニマリズムに共感する人の多くは、実は超が付くほどの面倒くさがり屋なのではないかと思っている。部屋を片付けたくないから、片付けがいらなくなるほどに物を減らす。そうして、気づけばミニマリストになっている。

かくいう僕も面倒なことが大嫌いで仕方がない。髪を乾かしたくないから坊主頭にしているし、靴紐を結ばなくていいような靴を選ぶし。自分の勤勉さよりも、適切に環境を設定して問題が起きないようにするほうが、よっぽど信頼できる。犬のトレーニングと同じ。他犬に吠えるなら、犬がいない場所で散歩をすればいい。空気入れが面倒なら、簡単に空気を入れることができる道具を使えばいい。そう、クリックバルブのような。

カチッ、シュコシュコ、パッ。

痛くない。汚れない。いや、ちょっと汚れることもある。

クリックバルブにしてから、いつも幸先が良い。

参考記事
  1. https://www.instagram.com/reel/DVfwGOyAX4t/?utm_source=ig_embed&ig_rid=ALfYgg1RBqK_eY6FJbvma-g ↩︎
  2. クリックバルブ 米式アダプター&ウッズ用入荷しました ↩︎

2026-09-24