スマホとコンデジどっちがいいのか。撮りたいものから逆算して選ぶ

P.4|撮りたいものから逆算して選んだオールドコンデジ【LUMIX DMC-FT20】

LUMIX DMC-FT20 オールドコンデジ

【要約】

  • アクティブな場面で犬を撮りたい
  • スマホは取り回しや操作が鈍臭い
  • 軽くてタフで取り回しのいいDMC-FT20を選んだ
  • 画質より軽さ優先

何より撮りたいものは、アクティブで何気ない犬との日常

犬が膝のうえでひっくり返って眠っている。困ったことに、机の上のカメラに手が届かない。そんなときは手元にあったスマホ(Google Pixel8)で写真を撮る。カメラ無音化Plusという有料アプリを入れているから、彼女を起こす心配はない。こんなふうに、状況によってはスマホのカメラも使う。

けど、自然と手が伸びるのは、やっぱりコンデジだ。機種は2012年発売のLUMIX DMC-FT20で、かれこれ半年以上は使っている。防水性や耐衝撃性を特徴にもつ、139gのちいさなカメラ。いまどき、タフネス系のオールドコンデジを使っているのは珍しいかもしれない。

僕がいちばん撮りたいのは、犬との何気ない日々。満面の笑みでアイコンタクトを取ってくれたり、日陰でひと休みしたり、同じ布団でいっしょに眠ったり。そんな日々がいかに尊いものか、知っている。そしていつか彼女がこの世を去ったとき、下手くそなピンボケた写真がどれだけ救いになるのかも。

犬 雨
大雨のなか、お気に入りの枝を見つけたらしい
雨 犬
膝の上に枝を運んできた

彼女との日々は実にアクティブだ。公園でボールを投げて一緒に全力疾走をすることもあれば、飛び跳ねたバッタを追いかけてハンティングすることもある。望むなら雨の日だって、深夜2時にだって散歩に行く。

出会った頃と比べると、ずいぶんと落ち着いた。ちいさく少しずつ経験を積んで、風で揺れる雑草に吠えることはなくなったし、横になった僕の鼻に噛み付いてくることもない。散歩中、地面に顎を付けて、のんびりとした時間を過ごすこともよくある。とはいえ、興奮のスイッチは一瞬で入る。社会化不足の影響からか、車や他犬に吠えかかってしまう。僕の油断は彼女の命に関わる。散歩中はリードをしっかり持ち、腰にトリーツポーチをセットし、いち早く犬や車の接近に気づき、脱感作や拮抗条件付けを試みる。そんな毎日。

鈍臭いスマホ

アクティブで危険を伴う現場で、スマホは使い物にならない。落とせない。濡らせない。片手で操作できない。ポッケに入れると走れない。ネガティブな要素が重なると、たった200gの物体でも持ち出すのが辛くなる。いくら写りがよくても、持ち出してシャッターを切らないと意味がない。とにかく、鈍臭い。まったくスマートじゃない。

誤解してほしくないのだけど、僕はスマホが嫌いというわけじゃなくって。むしろカメラを処分してスマホのみにしたいと思うこともある。

冬の朝の散歩で、彼女が白い実を数個を食べてしまうという事件が起きた。その場で調べたのか、家にスマホを取りに帰ったのか忘れたけど、とにかく写真を撮って急いで調べたらセンダンという危険な実だったことがわかった。その後、すぐに病院に行き事なきを得た。検索というスマホならではの良さを身をもって感じている。

ただどうしても、毎日の散歩で持ち歩くのは苦痛で、習慣にならなかった。いつもの散歩コースなら、どこの家に梅の木が生えていて、ヤマボウシが落ちていて、ガムが吐き捨てられているかは、たいてい把握できている。センダンの実も覚えた。車で出かけるならともかく、いつもの散歩でスマホを持ち歩く意味も薄れていった。

そんなわけで、LUMIXのDMC-FT20をよく使っている。検索こそできないけれど、落としても濡らしてもへっちゃらなうえに、安かったから思い切り使える。ポッケから取り出してシャッターを切るまでの全ての操作が片手で完結する。カメラが自立するから、三脚無しでツーショット写真が撮れる。もちろん全力疾走だって。走ってる最中にポッケから飛び出し、アスファルトの上を何回転もする大技をメイクしたこともある。それも2回も。けど、まだ動いてる。

コンデジは、画質より軽さ

LUMIX DMC-FT20 重要
重量139.1g|LUMIX DMC-FT20

僕にとって、画質は優先順位が低い。写真を熱心な趣味にしているわけではないから、ノイズが気になればあとからAIで整えるし、背景をぼかしたければGoogleフォトの編集で充分。描写力だとかレンズだとかも、正直よくわからない。けど、「重いカメラは使わなくなる」ということだけはわかっている。だから、100gという重さをひとつの基準にして、カメラを選ぶ。

OLYMPUS、CASIO、MINOLTA、格安スマホ、Google Pixel8などで写真を撮ってきて、散歩に気軽に持ち出せるラインは100〜130gくらいだった。150gを超えると、ポッケのなかで存在感が大きくなってくる。カメラが重ければ重いほど、心身ともに好調であることが求められた。250gを超えるカメラなんて、よほど絶好調でないと持ち出す気にならなかった。

1〜2年ほど前まで、2003年発売のCASIO EX-S20を気に入って使っていた。100gを切る軽さで、指先でつまめるほど、ちいさなカメラ。とにかく持ち運びが苦にならず、写真を撮る枚数を増やしてくれた。自動販売機に夕日が当たる美しさとか、何気ないところに感動が潜んでいることを教えてくれたカメラ。ズボンのポッケに入れていることに気づかず洗濯機で洗ってしまうまで、毎日のように撮っていた。EX-S20の写真体験がなければ、「写真はつまらない」と、いまも勘違いし続けていたかもしれない。

現在使っているDMC-FT20は139gなのだけど、毎日の散歩で持ち歩いても苦にならない。よほど体調が悪いと家に置いていってしまうけど。手に持ったときの軽さもそうだし、雨に濡らしてもアスファルトに落としても平気という、心の軽さが気に入っている。スマホは壊したときの損害が大きすぎて、心にもずっしり重い。物質的な軽さと精神的な軽さ。その両方が満たされたカメラが、僕にとってのいいカメラなのかもしれない。

おわりに

カメラに興味を持ち出したころは、機材のかっこよさにこだわっていた。ほかに評価する軸を持ち合わせていなかったし、写真を撮る意味を「かっこいいカメラを使うこと」に見出していたから。けれど、DMC-FT20を買うころには、見た目なんてどうでもよくなっていた。犬を撮りたいという気持ちがあって、写真に少しばかり楽しさを感じるようになって。必要な条件さえ満たしていれば、カメラはスマホでもコンデジでも一眼レフでも、なんでも。

スナップシューターとして名高いRICOH GRを渡されても、きっと使いこなせない。新しくても古くても、きれいでも汚くても、いい道具の答えはきっと自分で見つけるものなのだ。

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2026-09-26